作家 瀬川昌男とエスペラント



  1950年代後半から1960年代にかけて,瀬川昌男は少年少女向けSF(空想科学小説)を多く書いていたが,この中にしばしばエスペラントが登場した。
これらの本を読んで,「エスペラント語」という言葉を知った人も多いようである。
 私も彼の作品をいくつか読んだが,たぶん最初に彼の作品の中で「エスペラント語」という言葉に行き当たったのはラジオドラマの「 宇宙人類ノバ」である。これは1958年(昭和33年)に連続ラジオドラマとしてニッポン放送ほかで放送されていた子供向けSFドラマで,週5回放送で計195回放送されたものである(瀬川氏のホームページの情報による)。これには野添ひとみなどが出演しており,登場人物はエスペラントを話していた。

 彼はこの頃は新聞・雑誌連載か、単発ものの科学解説の仕事を中心にしており、単行本は殆ど書かなかったそうである。この時期,ほかには一般成人向けを含むラジオドラマの台本も書いていた。彼によれば,毎日小学生新聞連載後,1956年(昭和31年)に出版された「火星に咲く花」が処女出版だそうである。

 その後,毎日中学生新聞に連載後の1960年(昭和35年)に「白鳥座61番星」 が単行本で出版されている。また,同年には「地球SOS」が信濃毎日新聞連載後に出版されている。その後1968年(昭和43年)には「チタンの幽霊人」が,1969年(昭和44年)には「火星地底の秘密」 が各々出版されている。

 瀬川氏の考え方は将来,各国が協力して,宇宙開発などを行う時にはエスペラント語が使われている,ということである。本文中にもエスペラント語の会話やエスペラント語に基づいて命名されたものが登場する。

 最近は彼は身体の調子がすぐれないので,新たに出版はほとんどしていないが,自身のホームページ上では新作が続行中である。また、旧作の「ドラゴニア・ワールド」もこのページで読める。

 このような出版物も大きな意味でエスペラントの普及に寄与していると思う。似たような例では,外国の作家でハリイ・ハリスンが有名である。"La kaptita universo"(囚われの世界)など,いくつかはエスペラントにも翻訳されている。日本語でもステンレス・スチール・ラット・シリーズなどが翻訳されている。

 私のような多かれ少なかれ、エスペラントに関与しているものとしては今後も同様の作家が輩出してくれることを望んでいる。

(注)
2011年1月10日に「当方只今、わけの判らぬ「サイバー攻撃」に曝されており、自分のページに自由に出入りすることも出来ません。加えて只今は、小生自身の体調が頗る悪く、PCも短いメールを打つのがやっとの有様です。」と瀬川さんからメールがありましたが、7月10日に急性肺炎のため亡くなられました。残念なことです。


(このページの作成については瀬川昌男氏の了解を得ております)

(参考)
「白鳥座61番星」(1985年 小峰書店)表紙, 抜粋1, 抜粋2
「チタンの幽霊人」(1976年 金の星社)表紙, 抜粋1, 抜粋2
「火星地底の秘密」(1978年 金の星社)表紙, 抜粋

ハリイ・ハリスンの日本語Wikipediaのページはこちらです。
Harry Harrison のエスペラント版Vikipedioのページはこちらです。
瀬川 昌男氏のホームページはこちらです。

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